双子ママ研究者の研究・育児日誌

文系の女性研究者(特別研究員PD)のブログです。 出産して双子の女の子のママになりました♡育児と研究の両立に奮闘するなかで思ったことを書いていきます。

子どもの熱と研究者のスケジュール管理

保育園に行き始めのころはほとんど呼び出しがなかった子どもたち。しかし、先月くらいから呼び出し&休みのオンパレードです。そして、双子の場合、1人熱を出したらもれなく時間差でもう1人も熱を出します。先月も1週間、今月も1週間、ほとんど研究が進まない日が続きました。1人が3、4日で回復しても、もう1人いますので。。。

ちなみに今月は保育園の運動会がありましたが、運動会後は数日の間、0、1歳児クラスはほとんど誰も登園していませんでした。もう学級閉鎖レベルです。イベント後、子どもたちは思いっきり疲れるみたいです。うちの子たちは途中で熱が出て呼び出しされましたが、その日から数日は0歳児の出席率は0だったそうです。


子育てしていると、時々訳も分からないくらいハイになることがあります。

子どもたち、かわいいーー♡♡♡

とテンション上がったときは、なんというか根拠もない万能感があります。そんなとき、うっかり学会発表に複数応募してしまいました。9月から12月にかけて、月1のペースで学会発表。しかも今は科研費応募シーズン。そして、子育て研究者にピッタリの公募。加えて公開研究会の発表…。完全に子育て中の研究者だということを忘れてしまったスケジュールです。論文執筆が挟まれなかった分まだマシですが。もしあったら諦めていました。

でもでも、こんなときの子どもの熱は本当に本当に大変です。ギリギリの予定調節がバタバタと崩れて行き、何かにしわ寄せが絶対きます。子どもの体調が悪くなるだけでは済まず、自分自身も体調を壊すこともあります。ちなみに、先月は私も子どもから病気をもらい、手足口病なるものにかかって悲惨な目にあいました。

子育て中は、あらゆる締め切りを最低1週間前、できれば半月前に設定すべきです。そうしないと育児にひびきます。科研費応募はとりあえず終わらせ、公募もほとんど書き上げました。あとは、学会発表(ほぼ白紙)です。本当はこんなことすべきではありませんが、学会に優先順位をつけて取り組んでいるところです…。

そんなときこんなブログ書いている訳ですが…移動中のストレス発散です。

今回のスケジュール管理には大いに反省しつつ、完成度の低すぎる学会発表にならないようにギリギリまで粘ろうと思います…。

育児しながらの研究リズム

が、だいぶついてきました。

人間リズムができると、結構いけるなーとか思います。

朝7時に起きてまずは子どもたちの朝食。
子どもの着替え。
洗濯!!
自分のご飯と身支度を終えて8時15分には保育園へ
ここまでは怒涛のように過ぎていきます。


保育園に子どもたちを預けて、9時前からは研究の時間です。大学に行ったり、語学学習へ行ったり、非常勤に行ったり、自宅で研究に専念したり…その日によって内容は違いますが、夕方まではがっつり研究ができます。

自宅外だと16時前、自宅だと17時前までに研究を一旦切り上げて、保育園のお迎えです。元々は夜型だった私は、本当なら夕方から乗り始めるのですが、生活習慣をつけることで、午前は作業&午後からバッチリ乗る、というリズムが出来てきました(文系研究者は夜型の人が多いように感じます…)。

保育園に17時ごろ迎えに行ってからは子どもとの時間です。とはいえ、子どもたちの夕食、自分たちのご飯、お風呂などなど、やっぱり時間は怒涛のように過ぎていきます。

子どもの夕食後、夫が帰宅するまでは、極力子どもたちとスキンシップをはかったり、絵本を読んだりします。体力的にはしんどいけれど、この時間が平日の唯一の癒しの時間となっています。

お風呂の後、夜の授乳を終えて、9時〜10時には子どもたちを寝かしつけます。ありがたいことに二人とも夜はほとんど起きないので、ここからが再度自分の時間です(これができるのは双子が2人ともちゃんと夜寝てくれるからです。詳しくは以下の記事参照)。

 


疲れている時、そこまで研究が切羽詰まっていない時は、ここからは夫婦の時間で、夫と話したりテレビを見たり楽しく過ごすと同時に、睡眠時間もしっかりと確保します。

しかし、切羽詰まっている時は、ここからが研究時間!!9月〜11月までは今年度ピークですので、この生活が続きそうです。最近はだいたい2時まで研究して就寝しています。

そして、また翌日。あまりにもふらふらになった時は、自宅研究の日に1〜2時間ほど睡眠をとります。これができるのが、研究者の強みです。

平日がバタバタな分、休日は子どもたちといっしょにゴロゴロしたりお出かけしたり、子どもたちとの時間をとても大切に感じます♡休日は休日で離乳食作りが大変ですが、平日のためにフリージングで作りだめしておくと、平日の離乳食が楽です。

なかなかハードですが、リズムがつけばなんとかなるなと思う今日この頃です。しかし、無理は禁物!!自分の体調とも向き合いつつです。

目指すは妊娠・出産を経験した女性研究者のロールモデルです。そんな日が来ることを願っています。

双子姉の反抗期

うちの双子は生まれたときからずっと母乳とミルクの混合栄養で育ちました。

最近はもっぱら、1人が母乳、1人がミルクという形で交互にあげています。授乳は軌道にのるまでは大変でしたが、それ以後は2人とも母乳もミルクもとてもよく飲んでいました。

離乳食も、食べるの大好き♡とばかりにモリモリ食べてくれるので、3回食も順調です。

しかし、昨夕から、双子姉がミルクを全力で拒絶します。パパがあげても、ママがあげても反り返りながら、哺乳瓶を叩き倒します…母乳を飲ませると、あっさりゴクゴク飲み始めます。。。9ヶ月半こんなこと一回もなかったのにビックリです。

双子は時差なく同じ時期に同じように成長するので、育児もほぼ同じことを2人に同時にします。そんななか、やっぱりライバル意識が芽生えるみたいです。

さっきまでニコニコしていた子が、泣いていた片割れが抱っこされた瞬間に泣き出してすがるように抱きついてくること。片方の授乳や抱っこを邪魔しにくること。そんなことがたびたびです。

2人を平等にって難しい。何が平等なのか。2人の性格も違うので、同じように接することが平等とは限らないし。毎日試行錯誤です。

学振申請書の攻略法

学振RPDの採用内定に大喜びし、お盆明けまでは自分がまだ専任講師になったわけではないという厳しい現実を忘れて喜びに浸ってしまおうと思っている今日この頃。学振はDC1の不採用以来、DC2、PD、RPDはシームレスで採用された、ということで、お盆明けまでの期間限定で調子に乗っている勢いにまかせて学振申請書の攻略法を忘備録の意味も込めて少し記しておきたいと思います。この手の記事やブログはゴロゴロあるので、あまり書かれていないようなことを書きます。院生の頃からたくさんの学振書類(採用&不採用)に触れてきたなかで思ったことです。ちなみに私は文系なので、文系視点が強い内容だと思うのでご了承下さい。

書き方として、そもそも論であるテーマの斬新さや重要さを除いて、今の私が一番大切だと思っていることは申請書を1つの物語を作成する気持ちで書くことです。現在の研究のはじまりから、今後の研究計画の最後まで、話を一貫させることはもちろん、はじめから最後まで申請書に目を通す上で話がブツ切りにならないことです。当たり前のことのようですが、これができていない申請書は本当に多いです。話が行ったり来たり、あっちに行ったりこっちに行ったり、唐突すぎたりしているのです。おそらく、書き手が重要だと思っている内容が申請書作成時に溢れてしまっているような状態なのだと思います。しかし、せっかくおもしろい研究でも、ストーリーが組み立てられていないとわかりにくいです。読み手の頭の中にストンと落ちないのです。読み手が書き手の意図をくんでくれることを期待するのではなく、書き手が読み手に配慮すべきです。もちろん、専門外の人が読んでも分かる文章で書くことは言うまでもないことです。これは面接でも同じです。

続いて精神論ですが、自分の申請書が絶対に受かるという気持ちで書き、自分の研究はすごい研究なんだと信じることです。書く前から、今年は不採用Aにはなりたいとか、あまり期待はしていないけど…というようなことを言っている人に何人か会いました。特にPDは一発では無理だろうという声を聞きます。その考えは申請書に取り掛かる前に捨てるべきです。そういう考えを持っていたら、本気で採用を狙っている人の生き生きした文章にはかないません。これと一部関わることですが、自分の研究を過小評価することで、厚み・将来性を感じられない申請書になることは避けるよう努めるのがいいと思います。こじつけはいけませんが、自分の研究がいかに広く深くアカデミズムに貢献するかを自信を持って明記することが大事だと思います。これは学振の審査基準にも通じることです。

最後に、学振申請書を読んでいると、私のような脆弱な若手にさえ、この申請書は採用圏にあるか、落ちそうか、だいたい想像がつきます(自分の申請書には私情が入ってしまうので効力がありませんが…)。とにかく、申請書にたくさん触れたことのある人、学振採用者、科研費採択者、審査員経験者、指導教員など、申請書に知見のある人に「あとは運だね」と言ってもらえるような申請書を目指すことです。身近な研究者にさえ認めてもらえない申請書が採用されるのは難しいと思います。学振は「当たる」ものでもあるので、運だけはどうにもならないのは事実ですが。また、たくさんの人に見てもらいすぎると混乱するのも確かなので、私は申請時には、信頼できる方2人に見てもらいました。DC2の時は学振に強い教授に「期待していいと思う」と言っていただきました。PDは海外活動中のため、RPDは育児のためにバタバタで、申請書を一度添削してもらっただけで提出前に最終版をチェックしてもらうことができませんでしたが、両申請書とも、後日指導教員よりいい反応をいただきました。学振申請書を山ほど見ている方の反応はかなり現実的なものとして受け止めていいのではないでしょうか。

ちなみに、私はまだ学振しか手をつけていないので、若手ABや基盤研究などの科研費のことは詳しくは分かりませんが、先日先輩からいただいた若手Bの採用申請書を拝見すると、学振との共通点はかなりあると思いました。以上、一個人の考えですが、学振を目指す方のご参考になれば幸いです。

私は大学卒業後、社会人を2年経験していますが、一般企業に比べて研究者業界はかなりブラック、あるいは超格差業界だと思います。その研究者業界で院生時代から一定の給料をもらえる学振は、奨学金という名の多額の借金を抱えないための命綱にさえなります。博士号取得後も、雑務に追われることなく自由で主体的な研究の機会を与えてくれます。研究費も与えてくれ、思いっきり研究ができ、業績も増やせます。保険や雇用証明や副業禁止等の問題を抱える学振が、ブラックな研究業界のギリギリなものを支えている側面があることがすでに超ブラックなわけですが、それだけではないと思います。子どもを望む共働き女性の場合、出産後に時短・退職・転職など仕事において不本意な状況に追いやられ、第一線から遠のき、子どもがある程度大きくなったときには以前のような働きが無理ということがよく起こるこのご時世。仕事復帰しても幼い子持ちゆえの事情により、肩身の狭い思いをする女性が多いこのご時世。学振は(保育園にさえ入れれば…)女性研究者にそのような状況を避ける可能性を与えてくれます。そして、いろいろあるけれど、研究者は自分の好きな研究を仕事にできる素晴らしい職業だと思います。その業界で生き残ることができたなら、研究を愛する者にとっては本当に幸せなことだと思います。

学振RPD採用内定!

本日平成29年度特別研究員RPDの審査結果が通知されました。

無事、面接免除の採用内定でした!!!

RPDは必ず面接があると思っていたのですが、いつのまにか免除もできていたのですね。知らなかったです。なので、本当に想像もしていなかった吉報でした。

これで育児の主な担い手として子どもを優先しつつも、自由に研究ができます。学振には、DCから中断期間を含めて9年もお世話になることに…。ここまで長い間お世話になることになるとは、大学院に入った当初は想像もしていませんでした。しかし、おそらくこれが最後(RPDは妊娠するたびに申請できますが、その予定はないので)。

子どもを望んでいた頃、育児と研究を両立するために描いていたプランはここまでです。ここからは真っ暗。ここからが本当に厳しい道になるのだと思います。学振から巣立つため、常勤職を目指します!!

研究者の妊娠中の過ごし方の一例

ブログを始めたころに妊娠中の過ごし方について書こうと思っていましたが、すっかり忘れていたので少しだけ書いておこうと思います。


まず、私は妊娠・出産するために学振PDを狙っていました。理由は単純です。自分の裁量で研究ができる特別研究員は、妊娠中の体調に合わせて研究活動を調節できるし、出産後の体調回復および育児の最も過酷な期間に研究中断をし、学振の期間延長に当てられるからです。そして、研究再開支援期間も利用でき、その後も育児を中心としながらも自己裁量で研究を続けられます。これらを総合していえることは、若手研究者にとって致命傷にもなりうる、大きなブランクを避けることができるということです。以降の記述は、研究が自己裁量で行える立場であることを前提としたものであり、その上ではっきりとしたブランクを避けることを目指すための一案です。


もちろん、学振後の進路についてはさらなる困難が付きまとうことは明白です。そして、学振は自己裁量で活動できるといえども、妊娠前のような勢いをもって成果・業績をあげることなんて、まず無理です。子どもを産むということで、研究活動にも大幅な制限が加わります。しかし、うまく調整すれば、業績欄上はいつ休業したのかがはっきりとわからない、という状況は作ることができると思います。


休業期間がはっきりわからないレベルにする方法、それは後にも先にも論文を書くことだと思います。妊娠期間をまるまる博論の書籍化に当てるのもありだと思います。妊娠期間に博論を書き上げたという勇者も2名ほど知っています。私は妊娠期間は諸事情により必須の発表原稿を3つ作成しましたが、学会発表はあきらめることにしました(作成した発表原稿の3つ中2つは代読していただきました)。学会時期が出産予定日付近に集中していたことが主な理由ですが、やはり体調がどうなるか分からない妊娠期間に、特定の日程で行われる学会発表はプレッシャーですし、急に出席不可になる可能性も捨てきれません。とくに双子妊娠は、つねに流産・早産のリスクと隣り合わせでしたし、いつ管理入院になってもおかしくない妊娠だったので、学会発表という選択肢は私の中ではありませんでした。もちろん、妊娠中に学会発表をされた研究者の方の話もきいたことがあるので、不可能ではないとは思いますが、私のオススメは論文執筆です。


妊娠が分かったのが年度末の3月でしたが、その時点で出産予定の11月までに2本の論文を書くという目標を設定し、7月までは研究活動の6割以上を、7月以降はほとんどを、その2本の論文を執筆することのみに当てました。論文執筆は体調が悪いときはしなくてもいいです。むしろ、しないべきだと思います。資料集めは体調がとてもいい時だけ行います。1週間家の中で身体を休める日もありました。でも、はじめに目標を設定し、つわりの時期や妊娠後期の自分の研究効率の著しい低下を予測したうえで、早め早めに執筆を行えば、少なくとも1本の論文は書けるはずです。私の執筆した論文は、育児専念期にあたる3月に2本とも刊行されました。1本は有名学会誌、1本は予防線の意味も込めて査読なしの雑誌です。そして、復帰後に学会発表を行い、年度内に1本の執筆物(できれば論文!!)を刊行できれば、ブランクが目に付く形では生じなくなるのではないでしょうか。これは文系研究者の話なので、理系のみなさまには当てはまらないかもしれませんが、文系は論文が量産されない分野ではあるので、この流れで最低限のものは満たしていると思います。まだまだ甘いかもしれませんが…


出産後、育児はそれはそれは大変です。研究ペースはガタガタですし、研究会に出席することさえ微妙です。子どものかわいさだけが救いです。妊娠を計画されている方は、できればつわりの時期に入るまでに論文の目途をつけて年度中に論文を刊行してから出産にのぞまれると、いろんな意味で余裕が持てて楽になると思います。心理的にも、刊行された雑誌が届けば、研究ができていないもどかしさからくる研究者としてのストレスも軽減されるのではないでしょうか。

保育士さんへの感謝

私はまだ専任教員にはなれていない任期付きポスドク研究者です。研究者の世界ではトップの方さえで専任教員になるのは30代半ばくらいです。私は旧帝大の博士号所持者ではないので、もっと厳しい状況のなかにいます。旧帝大の方でさえ、専任教員になる前に子どもを持つことははばかられるくらい研究業界は競争が激しい世界です。そんな状況が分かった上での妊娠・出産。研究をあきらめたくなかったけれど、どうしても子どもがほしかったのです。

妊婦健診で子どもが双子だと分かった瞬間は本当に戸惑いました。専任教員でない方で子どもを持たれている数少ない方のほとんどは、お子さんが1人です。2人を育てながら研究が続けられるのか、不安で不安で仕方がありませんでした。

それでも妊娠中から2人への愛情が湧いてきて、エコー写真はかわいくて仕方がなかったし、胎動は愛おしかった…ずっといっしょにいたいと思いました。でも、研究を捨てることはできませんでした。

雇用証明書が出ず、保活に失敗する確率の高い学振特別研究員であったため、そして、妊娠・出産・育児でのブランクがキャリアからの離脱と直結しかねないポスドクという身分のため、出産1週間前まで研究をしていたし、妊娠中から保活をしました。双子を身ごもりながらの保活は、身体的に本当にしんどかったです。そしてまだ見ぬ我が子を出産前から預けるための活動をすることで、何度も何度もいたたまれない気持ちになりました。

幸い保育園が決まりました。本当に幸運でした。しかし、0歳から子どもを保育園に預けるということはとても辛いことでした。研究者になることが夢です。でも、小さい頃から子どもが好きで、お母さんになることは幼稚園のときからの夢でした。自分を責めるし、悲しいし、寂しかったです。

そんな気持ちのまま、保育園の入園式を迎えました。子どもたちの泣き声、叫び声でカオスのセレモニーが終わり、クラス担任の方々やクラスメイト、そのご両親の方との顔合わせがありました。

担任のA先生には1歳と0歳のお子さんがいらっしゃって、今年から子どもを保育園に預けられて職場復帰されたそうです。


A先生はおっしゃいました。

 


私も幼い子どもを預けてます。だから、自分の子どもと同じくらいのみんなの担任をできることが幸せです。自分の子どもが保育園でこんなふうにしてもらっていたら嬉しいな、と思うようなことを、みなさんのお子さんの保育でさせていただければと思います。

 

 

私はこの言葉を聞いて涙が出ました。保育園に預けたら親が面倒見るほどには保育ができないのは当然です。保育士の待遇や重労働の問題など、いろいろと注目されるようになってきています。保育士の方々が疲れたなぁ、今日はしんどいなぁ、とかいろいろ思う日があって当然です。でも、そんなことを考えていたなか、この言葉は心の深いところに染み込むように響きました。あぁ、この方は本当に子どもが好きな方なんだ、と理屈抜きに思いました。もう1人の担任のB先生もとても穏やかなかわいらしい方でした。なんだか安心しました。

保育園の送迎のたび、担任の先生とは子どもの情報を交換します。今日は双子がどうなふうだったか、どんなことができるようになったか、本当に楽しそうに嬉しそうに話して下さいます。双子それぞれの子の個性や性格も深いところまで把握してくださっています。双子のうち1人の子が、静かにストレスをため込むところがある子なので当初心配していましたが、今ではここまでしっかり見てくださる方になら安心任せられると思うほどになりました。

双子の1人が下痢のため、オムツかぶれがひどかったときは、見ている方が辛くなってしまって大慌てで「今日も仕事がありますが、自宅でできるんです。だから1人だけ預けて、この子は自宅で面倒みます。かなりこまめにオムツチェックしないといけないので、そんなこと頼めない…」と伝えると、「大丈夫ですよ、お母さん。かぶれは痛そうですけれど、機嫌もいいし元気です。今日は沐浴もしますし、オムツもこまめにチェックしますよ。もしよかったら安心して預けてもらえませんか。」と力強い言葉をいただけました。その言葉に安心して預けさせていただいたのですが、本当にこまめにオムツの状態を見てくださって状況はかなり改善されました。やるべき仕事があったので本当に本当に助かりました。

他にもいろいろ感謝することはたくさんあります。保育園に預けることにネガティヴなイメージがありましたが、その保育士さんのおかげで共同養育をしているような前向きな気持ちになることができました。子どもたちに愛情をいっぱい注いでくださっているのも伝わってきて、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります。

待機児童問題とセットで保育士の待遇の悪さが問題視されることで、その改善が大々的に要求されるようになってきました。これはこれで非常に重要なことです。

しかし、私のような子どもを保育園に預け、保育士の方に救われているような立場の人間からすると別に言いたいことがでてきます。待機児童問題も重要ですが、待機児童問題がたとえなかったとしても、まず大前提として、保育士という職業は本当に尊い職業だということがもっと認識されるべきだなと思うのです。預けはじめてまだ3ヶ月の私が、すでにここまで救われていて、子どもたちにも愛情をとても注いでくださっている保育士さん。尊くかけがえのない存在です。もちろんここまでの方ばかりだとは思っていません。しかし、この職業自体のすばらしさは明らかに軽視されています。だからこそ、待機児童問題を解消するために保育士の待遇を改善するのであって、保育士の待遇が不当だから保育士の待遇を改善しているわけではないのです。第一この不当さのため、保育士の労働環境や条件が悪いわけで保育士不足にだつてつながるわけです。この風潮は根深く、すぐ変わることは難しいと思われます。だからこそ、少なくとも私は一保護者として保育士の方々を尊敬し、感謝の気持ちを抱いたときはどんどん伝えていきたいなと思います。