双子ママ研究者の研究・育児日誌

文系の女性研究者(特別研究員PD)のブログです。 出産して双子の女の子のママになりました♡育児と研究の両立に奮闘するなかで思ったことを書いていきます。

研究者の妊娠中の過ごし方の一例

ブログを始めたころに妊娠中の過ごし方について書こうと思っていましたが、すっかり忘れていたので少しだけ書いておこうと思います。


まず、私は妊娠・出産するために学振PDを狙っていました。理由は単純です。自分の裁量で研究ができる特別研究員は、妊娠中の体調に合わせて研究活動を調節できるし、出産後の体調回復および育児の最も過酷な期間に研究中断をし、学振の期間延長に当てられるからです。そして、研究再開支援期間も利用でき、その後も育児を中心としながらも自己裁量で研究を続けられます。これらを総合していえることは、若手研究者にとって致命傷にもなりうる、大きなブランクを避けることができるということです。以降の記述は、研究が自己裁量で行える立場であることを前提としたものであり、その上ではっきりとしたブランクを避けることを目指すための一案です。


もちろん、学振後の進路についてはさらなる困難が付きまとうことは明白です。そして、学振は自己裁量で活動できるといえども、妊娠前のような勢いをもって成果・業績をあげることなんて、まず無理です。子どもを産むということで、研究活動にも大幅な制限が加わります。しかし、うまく調整すれば、業績欄上はいつ休業したのかがはっきりとわからない、という状況は作ることができると思います。


休業期間がはっきりわからないレベルにする方法、それは後にも先にも論文を書くことだと思います。妊娠期間をまるまる博論の書籍化に当てるのもありだと思います。妊娠期間に博論を書き上げたという勇者も2名ほど知っています。私は妊娠期間は諸事情により必須の発表原稿を3つ作成しましたが、学会発表はあきらめることにしました(作成した発表原稿の3つ中2つは代読していただきました)。学会時期が出産予定日付近に集中していたことが主な理由ですが、やはり体調がどうなるか分からない妊娠期間に、特定の日程で行われる学会発表はプレッシャーですし、急に出席不可になる可能性も捨てきれません。とくに双子妊娠は、つねに流産・早産のリスクと隣り合わせでしたし、いつ管理入院になってもおかしくない妊娠だったので、学会発表という選択肢は私の中ではありませんでした。もちろん、妊娠中に学会発表をされた研究者の方の話もきいたことがあるので、不可能ではないとは思いますが、私のオススメは論文執筆です。


妊娠が分かったのが年度末の3月でしたが、その時点で出産予定の11月までに2本の論文を書くという目標を設定し、7月までは研究活動の6割以上を、7月以降はほとんどを、その2本の論文を執筆することのみに当てました。論文執筆は体調が悪いときはしなくてもいいです。むしろ、しないべきだと思います。資料集めは体調がとてもいい時だけ行います。1週間家の中で身体を休める日もありました。でも、はじめに目標を設定し、つわりの時期や妊娠後期の自分の研究効率の著しい低下を予測したうえで、早め早めに執筆を行えば、少なくとも1本の論文は書けるはずです。私の執筆した論文は、育児専念期にあたる3月に2本とも刊行されました。1本は有名学会誌、1本は予防線の意味も込めて査読なしの雑誌です。そして、復帰後に学会発表を行い、年度内に1本の執筆物(できれば論文!!)を刊行できれば、ブランクが目に付く形では生じなくなるのではないでしょうか。これは文系研究者の話なので、理系のみなさまには当てはまらないかもしれませんが、文系は論文が量産されない分野ではあるので、この流れで最低限のものは満たしていると思います。まだまだ甘いかもしれませんが…


出産後、育児はそれはそれは大変です。研究ペースはガタガタですし、研究会に出席することさえ微妙です。子どものかわいさだけが救いです。妊娠を計画されている方は、できればつわりの時期に入るまでに論文の目途をつけて年度中に論文を刊行してから出産にのぞまれると、いろんな意味で余裕が持てて楽になると思います。心理的にも、刊行された雑誌が届けば、研究ができていないもどかしさからくる研究者としてのストレスも軽減されるのではないでしょうか。