双子ママ研究者の研究・育児日誌

文系の女性研究者(特別研究員PD)のブログです。 出産して双子の女の子のママになりました♡育児と研究の両立に奮闘するなかで思ったことを書いていきます。

学振三大悪制改善か??

先ほど学振から特別研究員採用者宛にアンケートが届きました。以前、クレジットカードの発行が出来たかというアンケート調査がきましたが、今回のアンケートはそんなレベルのものではありません!!

 

アンケート依頼メールによれば、

このアンケートは「特別研究員制度に対し様々な声が寄せられている中で、本全数調査により、特別研究員の方々がおかれている実態(真実)を把握し、新たな特別研究員制度の在り方について検討するうえでのエビデンスとして活用させて頂く予定です」とのことです。

 

しかも、調査されている実態とは、

 

①給与について

②研究機関との雇用関係について

③副業禁止について

 

です!!!

これはまさに、学振制度における三大悪制ともいえる制度についての実態調査ではないでしょうか。

 

①給与について

DCはもちろん、PDの給与も低いです。研究者業界では恵まれた給与に思えるかもしれませんが、他の職種と冷静に比較すれば低すぎることは明らかです。あの給与の中には、税金や保険、年金の支払いは含まれていません。この給与は「手取り」ではないのです。住宅手当等もありません。家賃の高い首都圏に住む方々にとってはなおさら少ない給与です。学振は海外での活動を推進していますが、国や場所によっては学振の給与では少なすぎてやっていくのが大変です。我々には、奨学金の返済という支出もあります。また、研究者の場合、研究者同士のカップルが非常に多く、お互い給与が安定しないのに扶養対象の子どもがいる場合、長期的な視野で見ると非常に危ういです。一家を養っている研究者もいます。扶養家族数と世帯年収を問えば、その危うさが見えてきます。研究者業界にいるからこの「一時的な給与」が魅力的に見えるかもしれませんが、外から見ればありえないような待遇です。しかも副業禁止って。。。優秀な研究者の原石は、他の業界や企業、さらには海外に流れてしまうでしょう。アンケートは上記のような実態を問うものであったので、心より改善を願います。

 

②研究機関との雇用関係について

このブログで書いてきた保育園問題において、雇用証明がでないことは有害でしかありません。妊娠中から保活をしましたが、体力的にも精神的にもとても辛いです。しかし、研究を続けたいならそれに耐えるしかありません。子どもを保育園に預けられないということは、ただでさえ競争が激しく雇用も安定しない研究者業界において、研究を諦めることを意味するかもしれません。また、私は本当は子どもが1歳になるまでは(本当は幼稚園に入るまで)ゆっくり子どもと過ごしたかったです(念のためですが、私は3歳児神話は一切信じていません)。でもそんなことをしたら、研究復帰できないかもしれないのです。1歳児クラスは0歳児クラスよりずっと倍率が高くなることが予想されるからです。本当なら研究者業界の就職難それ自体をなんとかして、産休育休(研究中断)後に安心して研究者として復帰できるようになれば一番いいです。でも、それが難しいなら、せめて学振の中断制度の期限である、子どもが1歳半になるまで研究中断できるという制度が有効活用できるための一助として雇用証明を発行していただきたいです。

 

③副業禁止について

特別研究員の給与は安い。任期もある。なのに副業禁止。非常勤にも制約がある。これも弊害です。研究成果を出すことを条件に、この制度も改善してほしいです。特別研究員は成果報告を年度末にしますが、これに対して大した介入は入っていないと思います。研究に専念するために副業禁止しているのに、成果に対してはあまり追求しないというのは不思議です。副業しても成果を出せば特別研究員としての責任は果たしているのではないでしょうか。しかも、その副業は研究者としての重要な経験となり、今後の研究生活につながるものかもしれません。あるいは経済的に不安定な研究業界において生き残る手段かもしれません。任期があるのに、この制限があるのは問題ですわ 

 

 

今回、このようなアンケートが来たことは本当に嬉しく思いました。今までこの現状は変えることができないものだと思っていましたが、声は届いているということです。まだ制度が変わったわけではないですが、ぜひ次につながってほしいなと思いました。これらの悪制があっても、不安定な研究者業界では学振は魅力的です。しかし、学振が研究者にとって「真に」魅力的な制度になってくれることを願います。